【実体験】PMP取得の全プロセス|30代以降のプロマネが知るべき準備と対策
キャリア
12/7/2025
プロジェクトマネージャーとして10年以上の経験があっても、「それを証明するもの」がないと感じたことはありませんか?
私も同じ悩みを抱え、2023年12月にPMPを取得しました。この記事では、受験資格の確認から英語での経歴書作成、Study Hallを使った効率的な学習法まで、実際の取得プロセスを詳しく解説します。
30代以降でPMP取得を検討している方が、一歩を踏み出すための具体的なロードマップとして活用いただける内容です。
PMP取得を目指した理由:経験を「証明」に変える
なぜPMPが必要だったのか
プロジェクトマネージャーとして13年間、数百万円から2億円規模のプロジェクトを担当してきました。プロジェクト計画、進捗管理、課題管理、ベンダーコントロール、コスト管理といった実務は一通り経験しています。要件定義から移行計画まで、プロジェクトライフサイクル全体に関わってきた自負もありました。
しかし、外資系ソフトウェアベンダに転職したとき、ある課題に直面しました。それは「プロジェクトマネージャーとしての能力を、対外的に証明する手段がない」ということです。
職務経歴書には過去の経験が記載されていますが、それはあくまで「過去の実績」であり、「標準的なプロジェクトマネジメント知識を体系的に理解している」という証明にはなりません。クライアントやチームメンバーに対して、公的な資格という形で信頼を示したいと考えたのが、PMP取得を目指したきっかけでした。
PMPが持つ価値
PMPは単なる資格ではありません。PMBOKという世界標準のフレームワークに基づいたプロジェクトマネジメント知識を、体系的に理解していることの証明です。
実務経験が豊富でも、それが「我流」なのか「標準に則ったもの」なのかを、第三者が判断するのは困難です。PMPという資格があることで、採用面接や新規プロジェクトのキックオフ時に、自分の立ち位置を明確に示すことができます。
また、グローバルで認知されている資格であるため、国際的なプロジェクトや外資系企業での活動においても有利に働きます。
受験資格の確認:専門卒と大卒で異なるプロジェクト経験年数
受験資格の2つの要件
PMPの受験には、以下の2つの要件を満たす必要があります。
35時間のプロジェクトマネジメント教育
一定期間のプロジェクトマネジメント経験
この2点目の「プロジェクトマネジメント経験」が、学歴によって異なります。
4年制大学卒業者:3年間(36ヶ月)のプロジェクトマネジメント経験
高校卒業または専門学校卒業者:5年間(60ヶ月)のプロジェクトマネジメント経験
私は専門学校卒業だったため、5年間の経験が必要でした。幸い、前々職での経験を含めると13年間のプロジェクトマネジメント経験があったため、この要件はクリアできました。
PDUの取得方法
35時間のプロジェクトマネジメント教育(PDU:Professional Development Units)については、前職のPMO専門コンサル会社で受講した講習で既にクリアしていました。
PDUは、以下のような方法で取得できます。
PMI公認のトレーニングコース受講
社内研修(プロジェクトマネジメント関連)
eラーニング
セミナーやカンファレンスへの参加
多くの企業では、社内研修でPDUを取得できるケースもあるため、まずは自社の研修制度を確認することをお勧めします。
最大の難関:英語でのプロジェクト経歴書作成
経歴書作成が最もハードルが高い
受験資格の確認が終わったら、次は「英語でのプロジェクト経歴書作成」です。これが、PMP取得における最大の難関だと感じました。
PMIのウェブサイト上で、自分が担当したプロジェクトの詳細を英語で入力する必要があります。入力する項目は多岐にわたり、各プロジェクトごとに以下の情報を記載します。
Title(プロジェクト名)
Organization(組織名)
Job Title(職業名)
Functional Reporting Area(職務上の報告領域を選択)
Organization Primary Focus(組織の主要な焦点)
Approach/Methodology(開発手法を選択)
Project Team Sizes(プロジェクトチームのサイズ)
Project Budget(プロジェクト予算)
Spent on Project to Date(プロジェクト期間)
Project Description(プロジェクトの説明)
特にProject Descriptionは重要で、以下の5つの項目を明確に記載する必要があります。
Supervision(監督)
The project objective(プロジェクトの目的)
Role(プロジェクトにおける自身の役割)
Key deliverables(主要な成果物)
The project outcome(結果)
日本語であれば問題なく書ける内容でも、英語となるとハードルが上がります。特に、プロジェクトマネジメント特有の専門用語や、役割・責任を明確に表現する英語表現に悩みました。
私が実践した経歴書作成の手順
私は以下の手順で、英語経歴書を作成しました。
日本語でプロジェクト情報を整理する
まず、Excelやドキュメントに日本語で各プロジェクトの情報を書き出しました。特にProject Descriptionは、5つの項目(Supervision、Objective、Role、Deliverables、Outcome)を意識して、箇条書きで整理しました。日本語をシンプルにする
複雑な日本語表現をそのまま英訳しようとすると、不自然な英語になりがちです。まず日本語を簡潔にし、主語と述語を明確にすることで、英訳しやすい文章にしました。DeepLとChatGPTで英訳する
日本語で整理した文章を、まずDeepLで英訳しました。その後、ChatGPTに「プロジェクトマネジメントの経歴書として適切な英語表現に修正して」と指示し、より洗練された文章に仕上げました。5つの項目を明確に記載する
Project Descriptionでは、5つの項目を順番に記載することで、審査者が理解しやすい構成にしました。例えば、以下のような形式です。・Supervision: Managed a team of 10 members including developers, testers, and business analysts.
・The project objective: Implement a new CRM system to improve customer engagement and reduce operational costs.
・Role: Served as Project Manager, responsible for project planning, progress tracking, risk management, and stakeholder communication.
・Key deliverables: Requirements specification, project plan, test plan, migration plan, and final system deployment.
・The project outcome: Successfully delivered the project within budget and schedule, achieving a 20% improvement in customer satisfaction scores.過去の経験を洗い出す
プロジェクト経験が豊富な場合、どのプロジェクトを記載するか迷います。私は、規模や期間、役割がバランス良く分散するように選定しました。
経歴書作成には1週間ほどかかりましたが、この作業を通じて、自分のキャリアを客観的に振り返る良い機会にもなりました。
Study Hallを使った効率的な学習法
Study Hallとは
PMIが提供する「PMP Exam Prep」という公式教材があり、その中に「Study Hall」という模擬試験プラットフォームが含まれています。私はこれを購入し、試験対策の中心として活用しました。
Study Hallには、本番と同じ形式の模擬試験問題が1,000問以上収録されており、繰り返し学習することで、試験問題の傾向を掴むことができます。
Study Hallのメリット
本番に近い問題形式
実際の試験と同じ形式で出題されるため、試験本番での感覚を養えます。詳細な解説
各問題に対して、なぜその答えが正解なのか、他の選択肢がなぜ不適切なのかが詳しく解説されています。繰り返し学習が可能
間違えた問題だけを集中的に復習する機能があり、効率的に弱点を克服できます。
英語の壁をChromeの自動翻訳で乗り越える
Study Hallは英語で提供されているため、最初は読むのに時間がかかりました。しかし、Google Chromeの自動翻訳機能を使うことで、この問題を解決しました。
自動翻訳の日本語は時々違和感がありますが、文脈から意味を推測することで、十分に理解できるレベルでした。また、繰り返し同じような問題を解いていくうちに、頻出する英語表現に慣れてきたため、後半は翻訳なしでも理解できるようになりました。
Study Hallを何周もする意味
Study Hallを1周しただけでは、まだ十分ではありません。私は3周ほど繰り返しましたが、その過程で気づいたことがあります。
それは、「似たようなシチュエーションの問題が複数ある」ということです。例えば、「ステークホルダーとの対立が発生した場合、プロジェクトマネージャーはどう行動すべきか」という問題が、異なる表現で何度も出題されます。
このような問題を繰り返し解くことで、PMBOKの原理原則に基づいた「最善の行動」がどれなのかを、感覚として掴めるようになります。
PMBOK第7版の特徴:行動選択問題への対応
第6版と第7版の違い
私が受験した2023年12月時点では、PMBOK第7版が試験範囲でした。第6版までは、知識エリアやプロセスグループといった「知識」を問う問題が中心でしたが、第7版では「プロジェクトマネージャーとしてどう行動するか」を問う問題が大幅に増えました。
具体的には、以下のような問題が頻出します。
プロジェクトの途中で重要なステークホルダーが追加要求を出してきた。あなたはどう対応しますか?
チームメンバー間で対立が発生している。プロジェクトマネージャーとして最初に取るべき行動は?
スコープ変更の要求があったが、スケジュールへの影響が懸念される。あなたはどうしますか?
これらの問題には、4つの選択肢があり、いずれも「間違いではない」ように見えます。しかし、PMBOKの原理原則に照らし合わせると、「最も適切な行動」が1つだけ存在します。
最善の行動を選ぶための考え方
行動選択問題で正解を導くためには、以下のポイントを意識する必要があります。
ステークホルダーエンゲージメントを最優先する
問題が発生した場合、まずはステークホルダーとコミュニケーションを取ることが基本です。変更管理プロセスに従う
スコープやスケジュールの変更要求があった場合、独断で判断せず、変更管理プロセスに従います。チームの自律性を尊重する
チーム内の問題は、まずチームメンバー自身で解決させることを促し、必要に応じてサポートします。リスクを先回りして管理する
問題が顕在化してから対応するのではなく、リスク管理の観点で事前に対策を講じます。
これらの考え方は、Study Hallを繰り返し解く中で自然と身につきます。
オンライン受験の準備:環境設定が最大の難関
オンライン受験を選んだ理由
私はピアソンVUEのオンライン受験を選択しました。テストセンターに行く手間を省けることと、自宅で受験できる安心感が決め手でした。
しかし、オンライン受験には厳格な環境要件があり、その準備が予想以上に大変でした。
オンライン受験の環境要件
オンライン受験では、以下の要件を満たす必要があります。
部屋の環境
机の上には、パソコン以外のものを一切置かない
壁や周囲に紙やポスターなど、文字が書かれたものを置かない
部屋のドアを閉め、試験中は誰も入室しないようにする
カメラの設置
正面カメラ(パソコンの内蔵カメラ)で顔を映す
イーグルアイカメラ(斜め後ろから自分とディスプレイ全体を映すカメラ)を別途設置する
このイーグルアイカメラの設置が、最も苦労したポイントです。スマートフォンや外付けWebカメラを、斜め後ろの位置に固定する必要があります。私は、三脚とスマートフォンホルダーを購入し、何度も角度を調整しながら設置しました。
ネットワーク環境
安定したインターネット接続が必須
Wi-Fiよりも有線LANが推奨される
オンライン受験の試験要領
オンライン受験の詳細な要件や手順については、PMIの公式サイトで確認できます。
オンライン受験の試験要領(日本語)
https://vip.eztest.org/client/pmi/home/index?lang=ja
このページには、カメラの設置方法や、試験開始前のチェックリストが詳しく記載されているため、受験前に必ず確認することをお勧めします。
試験当日の流れ
試験開始の30分前からログインが可能です。試験監督官とチャットでやり取りしながら、以下の手順で本人確認と環境チェックが行われます。
パスポートなどの身分証明書をカメラに映す
部屋全体をカメラで映し、不正がないかチェックを受ける
机の上、机の下もカメラで映す
イーグルアイカメラの角度が適切かを確認される
この準備だけで20〜30分かかるため、時間に余裕を持って開始することが重要です。
オンライン受験の注意点
試験中は一切のメモが禁止(ホワイトボードやメモ帳も使用不可)
飲食も原則禁止(水分補給は試験監督官に許可を得る必要がある)
試験中に席を立つ場合も、試験監督官に許可を得る
オンライン受験は自宅で受けられる利便性がある一方、環境準備と厳格な監視には注意が必要です。
受験当日:試験の流れと時間配分
試験の構成
PMP試験は、230分(約3時間50分)で180問の選択問題に答えます。途中で2回、合計20分の休憩を取ることができます。
試験中の時間配分
180問を230分で解くため、1問あたり約1分15秒しかありません。全ての問題を丁寧に読み込んでいると時間が足りなくなるため、以下のような時間配分を意識しました。
確実に解ける問題:30秒〜1分で即答
迷う問題:2分以内で判断し、マークをつけて後で見直す
難問:深追いせず、直感で答えて次へ進む
試験終了後、マークをつけた問題だけを見直す時間が取れるため、全問に一度は目を通すことを優先しました。
PMP取得後の変化:対外的な信頼と自信
対外的な証明としての価値
PMP取得後、最も大きな変化は「プロジェクトマネージャーとしての能力を対外的に証明できるようになった」ことです。
名刺やLinkedInのプロフィールに「PMP」と記載できるようになり、初対面のクライアントや協力会社の担当者から、「標準的なプロジェクトマネジメントを理解している人」として認識されるようになりました。
自分自身の知識の再整理
また、PMP取得のプロセスを通じて、これまでの実務経験を体系的に整理できました。実務では「経験則」として行っていたことが、PMBOKのどの知識エリアに該当するのか、どのプロセスに基づいているのかを、改めて理解できたのです。
この「再整理」により、プロジェクト運営における自分の強みと弱みが明確になり、今後のスキルアップの方向性も見えてきました。
まとめ:PMP取得は30代以降のプロマネにこそ価値がある
PMP取得は、一見ハードルが高く感じられるかもしれません。英語での経歴書作成、Study Hallでの繰り返し学習、オンライン受験の環境準備には、確かに時間と労力がかかります。
しかし、30代以降でプロジェクトマネジメント経験を積んできた方にとって、PMPは「経験を証明に変える」最適な手段です。実務経験があるからこそ、PMBOKの内容も実感を持って理解でき、試験対策も効率的に進められます。
この記事で紹介した以下のポイントを押さえれば、PMP取得のハードルは大きく下がるはずです。
受験資格(PDUとプロジェクト経験年数)を早めに確認する
英語経歴書は、日本語で整理してから翻訳ツールを活用し、5つの項目を明確に記載する
Study Hallを繰り返し学習し、行動選択問題の感覚を掴む
PMBOK第7版の「最善の行動」を選ぶ考え方を身につける
オンライン受験の環境要件を事前に確認し、イーグルアイカメラの準備を早めに行う
まずは、PMIのウェブサイトでアカウントを作成し、受験資格の確認から始めてみてください。一歩踏み出すことで、プロジェクトマネージャーとしての新しいステージが見えてくるはずです。
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